2022年10月13日木曜日

介護の歌

晴れた日の母につきそう両国の舗道の段差あらためて知る 小高賢

母老いてそこより見ゆるわが町はあさにゆうべに老いばかりなり 同

支えつつトイレに母をすわらせてパジャマをおろす夜一時過ぎ 同

このうえもなく愛されし罰として見届けん父の惚けきるまで 小島ゆかり

排便のとき娘らを遠ざける父尊し紙おむつの父 同

初めてのオムツをした日母が泣いた私も泣いた春の晴れた日 近藤福代

「空きを待つ」その空きの意味思いけり特別養護老人ホーム 小山年男

車椅子ごと抱きしめて送り出す特別養護老人ホームへ 佐々木晴美

( 歌人 永田和宏 選 )

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