ある日、お客様のお母様から電話があった。 「娘ががんになりました、卵巣がんです」
顧客にがん患者のいなかった私は一瞬とまどって 何を話していいかわからなくなった。 「大変だったですね」とかいって口ごもってしまった。
「あの、がん保険のことですけど?」お母様の方から用件をきりだされた。 我に返った私は、病気の内容をを聞き取り用紙を届けること、 病院の診断書が必要であることなどを伝えて電話を切った。
私は本人のお見舞いに出かけ、お母様に手続きを依頼してほっとした為、 その後どうなったか確かめずに半月ほど過ぎた。
ある日また突然にお母様から電話があり、 「がん保険を解約します。すぐ手続きして下さい。」と 不機嫌な電話がかかってきた。
あわてて給付の内容を確認すると、がんの診断給付金が無い!! お母様から聞いた状況では、診断書に悪性の記載が無かったとのこと。 診断書に悪性の記載が無ければ腫瘍といえどもがん保険は使えない旨 説明し、がんと診断した担当医に書き直すよう依頼してほしいと伝えた。
その数日後、またお母様から連絡があり。担当医は「がんに間違いないと思うが、 書き直しはできません。」と返答したとのことであった。 「ほとほといやになりました、やっぱりがん保険は解約します。」と お母様は言われ、その通り解約された。
入院手術までしたら、当分保険に加入できないことなどを説明し、 続けられるよう説得したが無駄だった。
ドクターは一度書いた診断書は訂正しない!痛い経験として、 私の記憶に残ることとなった。
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