2010年5月14日金曜日

潰瘍性大腸炎の恐怖

彼は近所の男性で、私より三つ年上だった。彼が亡くなって何年になるだろうか・・・

妻と離婚し実家に帰ってきていたのだが、同居することとなった高齢の両親から頼りにされ、近隣との付き合いも実質世帯主として扱われていた。

その彼が突然まえぶれもなく入院した。具合が悪いという話は聞いていなかった。田舎のことで、近隣の住人のことはすぐに耳にはいる。お互いがどういう持病を抱えているか、みんな知っているのだ。

だが彼は例外だった。何事がおこったのかとみんないぶかった。その後、「どうも内臓が良くないらしい」「ガンではなかったと両親が喜んでいた」という話は私の耳にも聞こえてきた。

ストレスだろうな、私はそう思った。熊本市内の会社で営業の仕事をしていたらしいが、いろいろ苦労があるだろうな不景気だし・・・などと考えていたのだ。

現実は私の予想を裏切った。彼はその後3か月もたたないうちに亡くなったのだ。病名は潰瘍性大腸炎。その名の通り、大腸の粘膜に潰瘍ができる難病だ。彼の両親が「ガンでなくて良かった」と喜んだにもかかわらず、ガンよりも恐ろしい結果になった。亡くなるときはガリガリに痩せていたという。「ガンの方がよっぽどましですよ、息子さんの場合」と担当医が言ったという話も後になって聞こえてきた。

難病の患者はけっこう近くにたくさんいる。私はいろいろ仕事で話を聞くたびにそう思うようになった。

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